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禁煙の挫折

人はなぜ禁煙に失敗するのでしょうか?

日本の喫煙者は約3000万人いるといわれており、タバコの発ガン性や健康上の理由から、禁煙を

考えた事がある人はそのうち6割にも上るといいます。

その中で、初めての禁煙で成功した人はわずか1割で、残りの9割の人は禁煙に失敗しているとのこと。

なぜ禁煙に失敗してしまうのでしょうか?禁煙に成功する方法はあるのでしょうか?

慶応義塾大学医学部・小林紘一教授によると、タバコに含まれる「ニコチン」と呼ばれる物質が、喫煙をや

められなくなる「依存作用」を引き起こすといいます。

ニコチンは、タバコの葉に含まれる植物毒の一種で、煙と共に気管支を通り、肺の細胞に吸い込まれます。

このニコチンは、脳内で情報を伝える神経伝達物質、アセチルコリンの分子構造とよく似ています。

そのため、この神経伝達物質を受け取る「受容体」が、ニコチンをアセチルコリンの代わりに結合させてし

まいます。

通常、アセチルコリンは分解酵素により分解されるが、ニコチンは分解されず、長時間受容体に居座っ

てしまう。その結果、ニコチンはアセチルコリンよりはるかに多い刺激を受容体に与えてしまうといいます。

そして、長期に渡って喫煙を続けていると、刺激を多く与えることの出来るニコチンが必要になってしまう

のです。

ニコチンによる刺激には、「目が覚める」「集中力が増す」といった覚醒作用や、「気分が変わる」「満足感

を覚える」といった抑制作用があります。

そしてニコチンはタバコを吸って僅か7秒というスピードで脳に到達し、これらの効果をもたらすことが、やめ

られない原因の一つになっているという。

では一体どうすれば、禁煙に成功するのでしょうか?


<禁煙第1の壁>

禁煙初日は体の中のニコチンが減ってくるため、イライラしたり、強い喫煙欲求が起こるといいます。

しかし、喫煙欲求は長くても3分で消えてしまうので、熱めのシャワーを浴びたり、ミント系のガムを噛む、

冷たい水を飲む、軽めの運動をする、といった、他の刺激により気分をそらす事が有効のようです。

また、緊張したり、イライラする時は、ゆっくり食事をとったり、温かいお茶を少しずつ飲んだり、大きく深

呼吸する事が有効です。

禁煙2日目、血中ニコチン濃度が急激に下がるため、初日よりも強い喫煙欲求が生じるといいます。

この衝動は禁煙を始めてから3日以内にピークを迎え、5日程でほとんどの人がその衝動が消えるといい

ます。

3日目になると、味や臭いに対する感覚が正常に戻り、食欲や味覚に大きな変化が見られます。

そして胃腸粘膜の血液量が増えて、本来の消化吸収力を取り戻すということです。

<禁煙第2の壁>

禁煙後1~2週間後は「安心期」と呼ばれるが、気が緩んで油断しやすくなり、この時期に禁煙に失敗し

てしまう人は28%と、割合では最も多いといいます。

脳の中で、ニコチンと結合していたアセチルコリン受容体が、アセチルコリンの刺激だけを求めるように

なるには、大体2~3週間かかります。

そのため、まだ脳の中ではニコチンを欲しているといいます。

食事の摂り過ぎは、覚醒度を低下させて喫煙欲求を起こしやすいので、食事は軽めにすること。

また睡眠をしっかり取り、酒は控えるようにすると良いといいます。

<禁煙第3の壁>

禁煙後1ヶ月が過ぎると、体がニコチンを求めなくなるが、喫煙していた時の行動記憶が残っており、何

かのきっかけでふと吸いたくなる時があるといいます。

この行動記憶を克服するには、例えば、毎日の移動手段を換えてみたり、食後早めに席を立つことや、

仕事のストレスを解消する事が有効であるといいます。

禁煙を決めたら新しい人間に生まれ変わる気持ちで、生活パターンに変化を持たせると効果があるとい

います。

また、食後に歯磨きをする、定期的に運動する、休日に没頭できる趣味を持つ事がよいともいいます。

喫煙の行動記憶が消えるまでは、最低でも3ヶ月は必要といわれるが、最初の1ヶ月を乗り切ると成功

率はグンと高くなります。

禁煙は一度失敗したとしても諦めず、自分がなぜ禁煙に失敗したかを認識した上で、何度も挑戦してみ

る事が大事です。

禁煙によって現れる人体への影響や乗り越えるべき壁の存在をきちんと認識することで、タバコをやめ

ることは可能だといえます。